穏やかな殺人(前編)|水流苑まち(つるぞの・まち)|note
闇の中、突然、意識が覚醒した。瞼が重くて、目を開けるのが億劫だ。嫌な夢を見ていたような気がするけれど、それがどんなものであったのかは思い出せない。 後頭部のあたりに鈍痛を感じる。数分前、いや、十数分? 夢の中をさまよっている間中、痛みの波に揉まれていたような気がする。もしかしたら、これは数十分以上に渡ってわたしの脳内を犯し続けているのかもしれない。 瞼を引き剥がすようにして目を開ける。ぼやけた視界の中に、やわらかい光が入ってくる。何度かまばたきをしたところで、レンズの曇りが取れたように視界が晴れた。
note(ノート)
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